虹の正体
では講義を始めます。今日は虹について。
みなさん、虹には雌雄があることをご存じですか?私たちがふだん虹のことを話す時、単に【虹】と呼びますが、正式には【虹霓(こうげい)】と言います。
古代中国人は、虹を龍に例えました。気象条件が整うと虹は二重に見えるそうです。私たちが想像するいわゆる虹の外側に、配色が真逆になった虹が現れることがあるというのです。これが完璧な虹の姿、【虹霓】です。
科学は私の専門外なので原理については割愛しますが、とにかく昔の人は前者を虹、後者を霓とし、さらにそれぞれをオスとメスの龍になぞらえたのです。生物界ではメスの方が大きいことが多いようですから、外側の、より大きい霓をメスの龍としたのでしょう。
龍の元となった動物は言わずもがな、蛇。虹の部首が虫偏なのは、こういったことが起源なのかもしれません。
ここまでは単なる雑学です。
さてこの二体の龍、はたしてどういう関係なのかということを考えてみましょう。
つがいでしょうか。もしくは母子。あるいは双子の姉と弟。それとも全く関係のない赤の他人…いえ、赤の他龍……いえ、七色の他龍かもしれません。
配色が真逆であるということをヒントにしてみましょう。これは背中合わせの形でしょうか。それともお腹同士をくっつけた状態?
いやいやそうではなく、雌雄の配色は全くあべこべで、つまりはどちらも同じ体勢を取っているのかもしれません。その場合でも、上空を向いているのはお腹か背中か。体勢は同じでも、進行方向は反対という可能性もあります。
多くのバリエーションが考えられるので、これは保留とします。
別の観点から、ひとつ仮説を立ててみます。
龍にはさまざまな種類がありますが、雨の後に現れやがて消えるということを踏まえると、おそらく【虹霓】は水龍の一種ではないでしょうか。ということは、雨を降らせているのは他でもない【虹霓】なのかもしれません。光の加減で雨の最中は見えませんが、実は彼らはそこにいるのです。
では雨とは何か。ずばり、龍のおしっこです。龍とは言え、元をたどれば蛇の仲間です。つまり爬虫類。私たちが日頃から慣れ親しんでいる動物、ありふれた存在なのです。龍もおしっこぐらいします。
これで謎は全て解けました。
【虹霓】は水龍の母親と息子。さらに言えばその息子は、まだ幼い赤ちゃん龍です。そして「雨」とは、お母さん龍が赤ちゃんにおしっこをさせる現象のことなのです。しかも水龍ですから、おしっこをする時に体中からいろんな体液が出ます。
このことを踏まえると、雌雄の配色が真逆に見えることも説明がつきます。本来、彼らの体の配色に雌雄差はありません。しかし赤ちゃん龍は空を飛ぶこともままななりませんから、母親に抱えられた状態でないと排泄できないのです。そう、お腹合わせで。その体勢ならお母さんの顔が見えて安心ですものね。配色が真逆に見えるのはそういうことです。
太陽が出てもしばらく虹が見えるのは、その赤ちゃん龍がおしっこハイの状態だからです。うちの猫なんかも排泄後はテンションが上がって家中走り回ってますからね。これと全く同じです。
ならば【虹霓】が見える時というのは、お母さん龍が暴れる我が子に手を焼いている状態と言えるのではないでしょうか。だから【虹霓】が見えてしまうことは、お母さん龍にとっては少し恥ずかしいことなのかもしれませんね。美しいし珍しいですが、あんまり見ないであげましょう。
今一度、【霓】という字を見てください。雨かんむりに兒。「兒」は「児」の旧字体です。古代中国人は全て分かっていたのですね。今日の講義はここまで。
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