シンプルな話
世間では今、いろんなことが起こっている。主につらいことや悲しいことが目に付く。その中には、ある日突然起こったものもあるし、今までは隠れていた(隠されてきた)けどなんらかのきっかけで露見したものもある。そういうものたちの持つ負のエネルギーが、心をゆっくりと蝕んでくる。この国はもうダメかもしれないと本気で思ったりもする。
事件も事故も、責任転嫁も、隠蔽もズルも嘘も、強欲も思い込みも殺意も、利権も癒着も独占も、全部憎い。
憎い憎い憎い。
憎い――が、たぶん、こういうものの上に今までの僕の安全な生活があった。確かにあった。正直なところ、知りながらも見て見ぬふりをしてきたことの方が多いと思う。大して考えなくてもなんとかなっていたのだ。でもそれは単に、運とか巡り合わせのおかげ。
もうたぶん、考えなくても大丈夫な時代は終わった。大人なので、なんでも自分の頭で考えなくちゃいけない。
考えた結果、まずは選挙に行くことにした。今まで以上に念入りに準備をして投票に行く。誰かが言っていた、「政治に関心を持つのは、起きてメシ食ってウンコすることと一緒」「無関心がいちばん過激な政治的態度」って。なるほどと思った。
それとはべつに、僕はやっぱり舞台に立つ人間なので、舞台でできることについて精いっぱい向き合うことにした。これもまた、今まで以上に。
今年の11月に上演する『かなわない夢ガール』という作品は、ある夢を持つひとりの女の子のお話。脚本は僕。5年前に上演して一定の評価をいただき、このたびご縁あって再演することになった。それに当たって改めて初演の脚本を読み直してみると、今の自分からすると稚拙で力押しなものに感じた。
また、これを書いていたときの自分と今の自分では、視点がまるでちがうことに気づいた。当時はがむしゃらにやりたいことをやっていただけで、ただただ突飛な夢を追い続けるだけのこの物語の主人公に自分を重ねていた。ところが今は、彼女を俯瞰で見ている。これはたぶん、生きる上で僕自身が「現実」というものを知って慎重になったせいだと思う。それは良いことでも悪いことでもあるけど、それよりも僕は、自分のこの変化を面白いと思えた。
だから今、大幅な改稿をしている。5年前よりも面白くなるのはまちがいない。
くわしくは以下から。
表現者といえど僕は人間なので、心が弱ることもある。されどやっぱり表現者なので、自分のしたい表現にひたむきでありたい。それで世に出た作品が、誰かをハッピーにできたらいい。笑顔が増えてほしいな。
結果的に宣伝になってしまったし、言いたいことの半分も言えていない気がするけど、今ひそかに掲げている自分テーマが「シンプルに話そう」なのでこのへんで。また。
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