忘れねぇからな
大学では演劇学を専攻していた。
シェイクスピアかなんかの戯曲を声に出して読む授業があって、その作中の「兎に角なんちゃらかんちゃら」という台詞を、僕は「うさぎにつの~」と読んでクラスの爆笑をかっさらった。先生も笑っていた。
まさか『とにかく』をそうやって表記するとは知らなかった。ていうかなんで他のみんなは知ってんだよ。学校で習わないだろ。クソが。
仏教用語で、「この世のものではないこと」を意味する『亀毛兎角(きもうとかく)』の後ろの部分が元になっているという。どっちも妖怪みたいなものだろう。
ただ、『とにかく』の意味は「あれやこれやは置いといて」であって、「兎に角」は完全に当て字らしい。じゃあなおさらよく分かんないだろうがよ。無理矢理かよ。クソがよ。
毛の生えた亀、角の生えた兎ねえ…
そういえば実家に、こういったような木彫りの亀があった。
亀は万年生きるというし、長々と毛が生えていることでよりありがたみが増す気がする。まるで仙人…いや、仙亀といった風格だ。
そこへ来て「兎に角」というのはどうだろう。
これは、ドラゴンクエストシリーズに登場するモンスターで、その名も“いっかくうさぎ”。序盤の敵で、そんなに強くはないけどめちゃくちゃ弱いわけでもないくらいの雑魚。
おそらくだが、「兎に角」から着想を得ている。ま、確かに「この世のものではない」かもしれないが、しょせん雑魚は雑魚だ。残念だったな。
RPGではお決まりの色違いモンスターもいる。
それがこちらの“アルミラージ”。
“いっかくうさぎ”の上位互換で、雑魚の中では少し厄介なヤツ、というイメージ。でもまあ雑魚。ラリホー使ってこなければ別に普通に雑魚。
ていうか“アルミラージ”って何?やけにかっこいい響きだけど……
アルミラージ - Wikipedia
要約すると、
イスラム地方の猛獣。金ピカのデカ兎で、60センチくらいの角がある。その角で家畜を刺し殺して食べる。魔女が退治してくれる。その正体は、皮膚病にかかり巨大化し、デコのイボがにょきにょき出てきたウサちゃん。
うーん、「亀毛」に比べるとグロいしありがたくもない。むしろウサちゃんかわいそう。ドラクエよりもバイオハザードとかサイレントヒルに出てきそう。ま、雑魚には変わりないけど。だってこっちのパーティーには魔法使いいるし。
でもさ、
Wikiの冒頭にもあるけど、そんなグロ雑魚ウサちゃんに、「ムハンマドが昇天する際に通った天への道」と同じ名前を付けたのはなんで?「東京のゴミの最終処理場が夢の島」みたいな皮肉?
イスラム圏の思想は分からん。
でもある意味では合点がいった。
雑魚は置いといてさ、というニュアンスで「兎に角」を使えばいいわけだ。なにせこちらには魔法使いのメラがある。「とにかく次の街を目指そう」だ。
じゃあ逆に、それは聞き捨てならないな、のニュアンスの時に「亀に毛(きにもう)」を使うのはどうか。
「きにもう、大学時代に笑った奴らを俺は許さんぞ。」
無いな。
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