消耗品
お気に入りのサルエルジーンズの股布が裂けた。僕は今、心から絶望している。最愛の人を失ったかのような感覚だ。
服は、言ってしまえば消耗品だ。使えば古くなるから、いずれ捨てなければならない。それはわかっている。でもこれは、ただの服ではないのだ。お気に入りなのだ。ヘビーローテーションというやつだったのだ。
単純に、直せばいいのかもしれない。お気に入りなのだからそれくらいの労力は惜しむべきじゃない。だけど、よしんば直せたとしても、もう以前と同じ姿に修復することが不可能なくらい派手に裂けている。こうなると萎える。じゃあいいやって思う。
だからバイバイした。ゴミ箱に捨てた。とてもつらい。同じゴミ箱の中に、生ゴミやヨーグルトの容器が一緒に捨ててある。ゴミ箱の蓋を開けるたびに、胸の奥がキューッと締まる。でもいい、バイバイする。あんなに大切にしていたのに、バイバイする。大切にしていたからこそ、バイバイする。バイバイ。ありがとう。バイバイ。
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